青騒-I SAY LOVE-
#03. 彼の弱音
私は弥生ちゃんの誘いで、響子さんと三人でプリクラを撮りに向かった。
女子同士では数回プリクラを撮ったことがあるけど、男子との混合は未だにない。
誘えば一緒に撮ってくれそうだけど…、チーム内の男子はプリクラにあまり興味が無さそう。
男の子ってそういう生き物なのかも。
「あ、そうだ!」
三台目のプリクラ機から出て落書きに勤しんでいた弥生ちゃんが、液晶画面から顔を上げた。
それでもって、折角だから今度はケイを誘おうと悪戯気に笑みを浮かべてくる。
「へ?」間の抜けた声を出す私に、
「記念だよ記念」ちょいちょいっと肘で小突いて、自分はハジメさんを呼ぶからと頬を崩す。
記念は嬉しいけれど…、それってあれだよね…、恋人らしい行為になっちゃうよね。
それはちょっと…なぁ。
此処のゲームセンターは不良の出入りも多いし。
特に夜のゲームセンターは治安も悪いから、用心に越したことはない。
私は首を横に振った。
プリクラを撮ることがヤってワケじゃないけど、でも…、ケイさんは、多分首を縦には振ってくれない。
率直に物申せば、「えー?」なんで、私が直談判してきてあげようか? と弥生ちゃん。
「なんなら響子が直談判するとか? ケイ、すぐOKすると思うけど」
いや、それは脅し…、うーん…、脅されてもこればっかりは首を縦に振らないと思う。
頑なに拒む私を不審に思ったのか、何か事情があるのかと響子さんが肩に手を置いてきた。
こっくりと首を縦に振る私にもっと不審を抱いたのか、響子さんはプリクラ機からプリクラを取り出し、ハサミがあるカウンター台まで私達を誘導。そこで事情を尋ねてきた。
隠しても追究されるだけだし、べつにこれは二人だけの秘密ってわけでもない。
私は日賀野さん達と決着がつくまで、なるべく恋人らしい行為は避けるつもりなのだと吐露。
それがケイさんと話し合った結果でもあるから、デートも喧嘩が終えるまで絶対にしないと伝えた。