青騒-I SAY LOVE-
一呼吸置いて、ヨウさんは過ぎ去る車の風に乗せてケイさんに告げた。
「ケイ、テメェは弱かねぇよ。だから裏切らない。それに一度だって俺等を裏切ったことなんざない」
頼むからさ、シケた顔するのはやめてくれよ。折角の祝い日がパァになっちまうぞ。
「そうだろ?」
同意を求めてくるヨウさんは一変して笑みを作る。
傍迷惑なエンジン音を奏でながら過ぎ去っていく大型バイク。
二人をライトで照らすのは瞬く間だった。
恍惚に舎兄を見つめていたケイさんは、「お前らしい答えだよ」幾分軽い口調でくしゃりと笑みを返す。
本当にお前らしい、繰り返す彼の様子から言葉は受け入れても自分にあんまり信用が置けていないみたいだ。
視線を歩道タイルに落とし、「だといいな」小さく自嘲。
「んだよ」俺は嘘ついてねぇぞ、悪ノリで肩を竦めるヨウさんは容赦なく相手の脇腹に肘を入れる。
アウチッ、悲鳴を上げるケイさんは脇を押さえて友愛が痛いと軽く身悶え。
その体勢のまま、「やっぱ弱いな俺」項垂れてしまう。
「ごめん、ちょっとグルグルしてたんだ。
まだフルボッコ事件が尾を引いてるんだろうな。そろそろ断ち切ってもいいだろうに…、これも俺が弱い…せいかな」
「ちげぇよ」単にテメェは自分を過小評価しているだけなんだよ、ヨウさんは彼の首に腕を回し、その手を頭に置いた。
「ケイ、俺はテメェを信じてる。テメェは俺等を裏切るような奴じゃねえって」