青騒-I SAY LOVE-


忘れていたと二人におずおず告げれば、「はあ?」「はい?」短期間でどうして忘れられるんだとツッコミを頂戴する。

頬を赤らめて、本当に忘れていたのだと唇を尖らせる。

念頭から消え去るくらい、あの舎兄弟のやり取りが印象的だったのだから。
 

……ほんと、あの二人の絆って深そうだなぁ。
 

なんだかんだで友情が強そうだし、言いたいこともすぐ分かっちゃうし。

かたや出来立てホヤホヤの恋人である私は信用されていない…、というわけじゃないだろうけど、あまり頼られなさそう。

それはとても切ない。

ケイさんに見合う女の子になりたいなぁ。

なによりも私に不安を与えないよう気遣ってくれる、ケイさんを支えたい。支えられる女の子になりたい。
 

……、なれるかなぁ。
 

お得意のネガティブの波に呑まれた私はすっかりしおしおに萎れてしまう。

悩んだり、唸ったり、しゅんっと項垂れる私の百面相に響子さんと弥生ちゃんが顔を見合わせた。

何かあったのか、そう声を掛けられた私は「実は…」とボソボソ胸の内を明かす。
 

喧(かまびす)しいゲームセンターのBGMを聞きながら、自動販売機の前まで移動した私達は飲み物を買って会話の続きを展開。


ウーロン茶の入ったペットボトルを取り出す弥生ちゃんは軽く笑声を上げて、「気持ちは分かるなぁ」と同調した。


好きな人ができるとどんな一面も知りたいよね、言葉を掛けられ私は首肯した。
 

「しかもケイは負けず嫌いだからねぇ。そー簡単には弱い面なんて見せないと思うよ。好きな女の子にはカッコ付けたいだろうし」


「分かってますけど…、だけどなんだか悔しかったんです。私にはその面を隠して、ヨウさんには見せているっていうのが。
ヨウさんに嫉妬しているわけじゃないんです。
だけど、その、折角彼女になったんだから不安なことも話してもらいたかったというか」


「あの二人は舎兄弟だから仕方ないって。ココロが頼りないとか、そういうレベルの話じゃないと思うんだけど」

< 232 / 322 >

この作品をシェア

pagetop