青騒-I SAY LOVE-
ぶうっと脹れて二人を恨めしく睨んでいると、「お。いたいた」此処にいたのかと私に声が掛かる。振り返れば、探したじゃんかと手を挙げてくるケイさんの姿。
ヨウさんと一緒にご登場してくれる。
さっきまで私がケイさんを探していたんですけど、内なる声は当然相手に届く筈もない。
悩みも不安も見せず、いつもの笑顔をこっちに見せてくれた。
それが嬉しかったり悔しかったり。
しかもヨウさんと一緒に登場っていうのが…、私はついつい不貞腐れた顔を作ってしまった。
やっぱり私、舎兄弟の仲に嫉妬しているのかもしれない。
頬を脹らませている私に、「?」ケイさんは頭上にクエッションマークを浮かべた。
「なんか、怒ってる?」
「…怒ってませんもん」
「(いやぁ怒ってるだろその態度)んじゃあ、どうしたの? なんかあった?」
なにかあったのはケイさんとヨウさんのせいです。
頬に溜めている空気を右から左に移動させて、私はジトーッと舎兄弟を見据える。
すると私の視線を受け止めたヨウさんが、「ああそうか」ポンッと手を叩いて、拗ねてるんだなっと指摘(図星を指摘されるなんて!)。
俺がケイを取っちまってたもんだから拗ねてるんだろ、悪い悪い、両手を合わせて謝罪してくる。
「せーっかくの初夜なのに俺がケイを取っちまったもんだからなぁっ。悪いわるいここっ、うわっづ?! きょ、響子なにすんだよ! アッブネェな!」
危うく響子さんの蹴りを食らいそうになったヨウさんは、持ち前の反射神経を活かし、紙一重に避けて見せた。お見事です。
こめかみに青筋を立てている響子さんは、
「クダラネェ下ネタを言いやがって」
野郎はどうしてそっち方面に持っていこうとするのだと唸り声を上げる。
「べっつ俺はシモじゃなくて」
恋人になって初めての夜を指しただけです。
エッチネタを想像したのはテメェじゃねえか、とヨウさんがすったもんだな反論をしたせいで、私とケイさんは各々決まり悪く顔を顰め、弥生ちゃんは大いに呆れ、響子さんの怒りは上昇。
その根性いっぺん叩き直すと響子さんは指の関節をバキボキゴキと鳴らしていた。
「ヨウッ、テメェってヤツは…、この腐れ野郎め」
「腐れた思考を持ったのはどーっちだかっ。おっと、ははっ、残念でした。当たりませーん」