青騒-I SAY LOVE-
ちょっとだけ欲張って私は肩を並べる彼の左手を握った。
危うくジュースを噴き出しそうになったケイさんは、「そ。そういうのって」不意打ちだと思うんだけど、ぎこちなく言葉を返して手を握ってくる。
お互いに顔が赤いだろうけど、その手を放そうとは思わなかった。これっぽっちも。
視線を持ち上げると、「ほら」私の買ったオレンジジュースを差し出して照れ笑いしてくる。
ペットボトルを受け取り、同じ顔を零す。本当にこの人を好きになってよかったなぁっと思えた。
「(あれが俗に言う…、間接ちゅーだってあいつ等。分かってるのか? てかっ、甘ぇ…、甘過ぎるっ。胸焼けするくれぇ甘い。ケイをからかいにきたっつーのに、今出たら完璧KYじゃねえかよ。俺達)」
「(ですよねぇヨウさん。はぁーあ、幸せそうだよな。オレも彼女欲しいかも。中二に別れてそれっきりだし。ケイが作れたんだから、オレもすぐ作れるよな)」
「(あ゛っ! ケイさんを馬鹿にするなよモト! 俺っちの兄貴は心身男前なんだぞ! ココロさんとケイさんはお似合いもお似合いなんだぞ!)」
「(うーん、KYの壁も壊して突撃したいっぽん。ねえ? ハジメちゃーん)」
「(いや、僕は皆に連れられるがままに…、だよね? シズ。タコ沢)」
「(俺は谷沢だっ! ったく、なんで俺がでがばめなんぞ…、はぁあ…、帰っていいか?)」
「(ふぁ~…、ケイも…、ココロも…、幸せそう…だな。…眠い…ん? ッ?!!)」
「(どーしたんッスか? シズさん)」
「(きょ…、きょ…)」
「(きょ? あ゛っ、きょ、響子さんっ!)」
「(くらぁああ! 野郎共っ、揃いも揃ってナニやってやがる! ココロの憩いの時間を邪魔してくれているんじゃねえぞ!
……まーさーか邪魔なんざしようと? だったら全員焼きいれたるっ!)」
「(シーッ。二人に気付かれちゃうよ、響子!)」