青騒-I SAY LOVE-


あれは三年の時、まだクラス替えをして間もない頃。

同じクラスになった彼女はすぐに私をおとなしい奴だと見定め、パシリにするべく友達になろうと装って歩んできた。

誰でもいいから友達が欲しかった私は、警戒心を抱くこともなく彼女を受け入れたんだけど、それが間違いだった。


彼女は私を顎で扱い、あれやれこれやれそれやれ…、嗚呼、思い出したくもない陰湿で粘着質の高い学校生活。


時に悪戯と名目して体操着を隠され、美術に提出する筈だった募集ポスターに落書きをされ、教科書の中ページを数枚破られ。

上靴が何度溝に放られていたことか。

汚れた上靴を見て、わざとらしく古渡さんが可哀想にと同情してティッシュをくれたあの屈辱、忘れもしない。

嫌な仕事は私ばっかり押し付け、「ココロ優しいもんね?」と笑顔で脅されていたという。


しかも私のできた友達を次々奪ってしまい、「アンタにはいらないでしょ?」だって根暗だし、誰も必要としていないと嘲笑されたあの時の思い出。


彼女は表向き、クラスメートのために動くような行動を見せていたから、教師達の目は易々と掻い潜っていた。

寧ろ良い子ちゃんとして評判のある子だったんだ。

教師を味方に付けてしまわれては、クラスメートも成すすべはない。


古渡さんのご機嫌を取りつつ、彼女の味方にいれて貰うしかなかったんだ。


勿論果敢に反論する男女子生徒もいたんだけど、そういう子がどうなったか…、私以上にこっ酷い目に遭っていたことを、私は知っている。


それこそ不登校になる領域だった。

学校に来れなくなった子をせせら笑い、弱い弱いとぞんざいに言い放つ古渡さんの権力は絶対だった。


人の心を踏みにじることを快感としているようだった。それこそゲーム感覚。

自分の友達同士で小競り合いをさせたり、友達の彼氏を寝取ったり、自分に逆らう輩は制裁を下したり。


あれは教室の独裁者に近かったかもしれない。


彼女のせいでどれほどの疎外感を抱いたか。

なにかとグループを作るとき、絶対独りを強いられていたあの学校生活。

その独りになる私に、「オトモダチいないんだね」カワイソー、でもあの性格だからしょうがない。


根暗だし、被害妄想も多いし、うじ虫でトロイしブスだし。


聞こえる陰口を毎日のように叩かれた。折角できた友達も、いつの間にか古渡さん側について一緒に私を苛めてきた。
< 259 / 322 >

この作品をシェア

pagetop