青騒-I SAY LOVE-


「で? いつまでヨウは笑ってくれてるんだ?」

 
倉庫内の四隅壁際でジベタリングしている俺は、ぶっすりぶすくれたまま八つ当たりの標的を舎兄に向ける。

向こうが不良? イケメン? そんなのカンケーねぇ! おりゃあ八つ当たりしたいんだ!


まーだクスクスゲラゲラ笑ってる舎兄は、俺の顔を見て大変失礼なことに噴き出してくれた。

おい、唾が飛んだらどーしてくれるんだよ。
イケメンさまの唾でも汚いものは汚いんだからな? OK?
 
片眉根をつり上げる俺に、「お前等最高だって」フォローにすらならないフォローを向けて背中を叩いてくる。

ようやく発作が治まりつつあるのか、ヨウは胡坐を掻き直して素敵に無敵な漫才だったとニッコリ。


ンマー、イケメンさまの笑顔は素敵でごぜーますね。

俺にもそのイケメン要素を少し分けて欲しいデース。
 

「ったくデガバメとか」

文句を漏らせば、

「だって俺。フラれた身だし?」

その分チャチ入れたいのだとあっけらん顔で返答してきた。

おかげ様で少し気持ちが晴れた。というか八つ当たりの火が弱火になる。

だってヨウのその言葉の裏腹には、俺達の恋愛を心配している含みが入ってたから。

ま、どっからデガバメしてた知らないけど、爆笑したのは頂けないんだぜ。

体を微動させて笑声を漏らしているヨウは頭の後ろで腕を組んで、「災難だったな」ニヤリニヤリと話を切り出してきた。
 

「響子に勘違いされた挙句怒鳴られるとか。こりゃ本気で抱く日は地獄見る覚悟だな」

「あのなぁ…、俺達と不良達の恋愛を一緒にしないでくれよ。どー考えても今の俺等じゃ無理だろ」
 

正論を言った筈なのに、「触れたくね?」なんか変化球の問い掛けが飛んできて俺は言葉を詰まらせる。

俺がこういう系に免疫ないの知ってるくせに、とんだ質問を飛ばしてきてくれるもんだ。兄貴も。
 
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