青騒-I SAY LOVE-


「ケイ。テメェ、頭殴られて気ィ失ったんだって。脳震盪でも起こしたのかもしれねぇし…、やっぱ病院行くべきだ。なんか俺等のこと、あんま分かってなさそうだしな」
 
「んー、分かるって…あー…」


喋る元気が出てきたのか、ケイさんは私とヨウさんを交互に見やって大丈夫だとばかりに笑顔を作ってきた。


「俺は田山圭太だろ。で、お前は荒川庸一だろ。そっちが若松こころだろ。うん、かんぺき…、おはよう、二人とも。
俺、超元気げんき…、あー…なんで頭痛いんだ。殴られたって何? 大体此処は…」


どうやらケイさんはヨウさんの言うとおり、判断力が低下していただけみたい。

自分の名前も私達の名前もしっかりと口にできた。


ホッと安堵する私とヨウさん。

私はケイさんの疑問に答えてあげることにした。
 

「此処は浅倉さん達のたむろ場です。ケイさん」


「ん? なんで浅倉さん達の…、あ! てか俺ってさ、まだヨウの舎弟だよな?
間違ったってヤンデレ不良に愛された挙句、散々追い駆けられて。ヨウ達を裏切って。トラウマ日賀野の舎弟になった。って…そんな現実オチじゃないよな?
……それとも、もしかして俺、皆と今、敵対してる関係? そんな昼ドラ展開? もしそうだとしたら俺とお前って敵か?」


俺って荒川チームに捕まったのか? あんれ?


腕を組んで首を傾げるケイさんに、私とヨウさんは「……」だったり。
 

………。
 

なんだか、わけの、分からないことを、ケイさんは言い始めました。まる。
 

「……。ケイ、やっぱテメェ、病院行くべきだって。言ってることサッパリだぞ」

「え? やっぱり敵さんだったり…する? 俺って日賀野の舎弟?」

 
いたく真面目に質問してくるケイさんに、ヨウさんもいたく真面目に返事。


「ケイの状況判断がつかなく…、くそっ、向こうにしてヤラれた気分だ。けど大丈夫だ。すぐに治るから。な? 安心しろ。ケイ」
 
   
するとケイさん、「敵さんにも優しいんだな」とかなんとか言って目尻を指で擦りました。

どうしましょう、これは記憶喪失以上に厄介なんじゃ。


「け、ケイさん…、病院に行きましょう。わ、私、ついて行きますから!」


おろおろとパニクる私にケイさんは、病院はいらないですと答えた。

寧ろ今、自分に欲しいのは真の友愛だと述べてくる。

「日賀野の舎弟になっていたなんて」

どうして俺はあいつを選んだんだっ、ドチクショウ!

頭を抱えて彼はうんぬん唸った。

もう収拾のつかない光景に、ヨウさんはこうなったらとばかりに握り拳を作る。


「ケイ許せ」


拳を振り上げるヨウさんの行動に驚き、私は悲鳴を上げてヨウさんの腰に飛びついた。

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