青騒-I SAY LOVE-
人三倍言葉に気を付けないといけない彼女は(ネガティブになりやすいんだ)、常に俺の感情を言葉にして欲しい傾向がある。
また言わなくても自分のことを分かって欲しいと想う、ちょっとした我が儘な面もある。
めんどくさい?
うん、傍から見たらそうかもしれない。
でも俺はそのめんどくささも、ひっくるめて彼女のことが好きなんだ。
ネガティブの面だって人間だれしもなる一面だろ? 俺だってネガティブになるって。
多少の我が儘は聞いてやりたい。
それで笑ってくれるなら、尚更。
俺の気持ちを真摯に受け止めてくれる彼女は満面の笑みを浮かべた。大好きな花咲く笑顔に、俺も綻ぶ。
目でもっとって訴えられたから、俺は羞恥もプライドもかなぐり捨て、彼女を腕に閉じ込めながら伝える。
「大好きだよ」って。
これ以上になく擦り寄って甘えてくるココロに一笑し、俺は頭を撫でた。
随分我慢させてきたもんな。日賀野達との一戦から五十嵐達との喧嘩まで…、すべてが終わるまでココロには我慢をしてもらった。
恋人らしいこと、なにもできなかったから。
寧ろ泣かせたこともあったな。
不本意だけど、ココロを泣かせたこともあった。
絶対泣かせないって誓ったのに、俺は彼女を大泣きさせたんだ。
そう、あれは俺が一回目の五十嵐戦で負傷した時のこと。
かつてヨウ達が使った『漁夫の利』作戦返しを食らった俺は、こっ酷く奴等に痛めつけられ仲間と共に入院を強いられた。
まさか自分が入院するなんて夢にも思わなかったよ。
だから目が覚めた時にはどうして病院に…って、混乱したし、困惑したし、母さん達からは散々叱られたし。
病院に運ばれて一日中眠りについていた俺は、同室のヨウと三時間差で目覚めた。
先に目が覚めたのはヨウだったんだ。俺が目覚めた時、あいつから「はよっ」て言われたから。
ヨウ自身も丸々一日眠っていたんだってことは後で知った。
そして俺達が目覚めて翌日、俺はココロを泣かせた―――…。
―――…コンコン。
ノックが聞こえた。
丁度昼食を取っていた俺とヨウは三分粥が不味い、まずい、もっとしっかりとした固形物を食いたいと愚痴っているところだったんだけど、ノックによって会話を打ち切る。
「はい」ヨウが返事をすると、「入るぜ」声と共に響子さんが中に入って来た。
俺達とは打って変わって無事な姿にホッと息をついてしまう。響子さん、無事だったんだ。良かった。
ヨウも同じ気持ちみたいで、怪我していない姿に良かったと力なく笑っている。響子さんに続いて弥生が中に入ってくる。
ということはココロも、あ、中に入って来た。
女子組は全員無事なんだな。本当に良かった。