青騒-I SAY LOVE-


「重かったら、折半してやっからダイジョーブだ。舎兄弟ってンなもんだろ。ま、こりゃどっかの誰かさんの受け売りだけどな」

 
不意に掛けられる言葉は、かつて俺が舎兄に掛けた言葉。

思わず相手を凝視しちまったけど、すぐに頬を崩して「おう」頼んだと相手に笑みを向けた。今度は自然に笑えたよ。


ありがと、ヨウ。

ちょい心が軽くなった。


 
「先行き分からん未来を心配するくれぇなら、今度の土曜のおデートを心配するこった。失敗したら響子からカミナリ食らうぜ?」

「こ、怖いこと言うなって。マージ今日の電話でさえビビッたってのに」


身震いする俺に目で笑う舎兄は、アドバイスとしてこんなことを言ってきた。


それはその時の俺自身、よく理解できないアドバイス。




「ケイ、女は化けるからな。油断してるとヤられちまうぜ?」
 


 
せいぜいしっかりと理性を保たせておくこった、ヨウは皮肉交じり、否、恋愛の先輩としてのアドバイスを真摯に俺に向けて笑みを浮かべた。

「楽しんでこいよ」

なんて言ってくれると、馬鹿馬鹿しい不安が霧散しちまう。


ほんとヨウは兄貴だな。


恋愛に対しては特に兄貴、さすがはイケメン不良(とか言ったらヨウが怒るだろうから口には出さないけど)。

俺は返事の代わりに笑みで答えた。

うん、楽しんでくるよ。


今までココロに我慢させていた分、何かしてやろうと思う。

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