青騒-I SAY LOVE-
「どうして?」
ふっとココロが俺の頬に触れて、どうしてと疑問を投げかけてくる。
瞬きをする俺に対し、「どうして」ケイさんは一人で背負うとするの? と彼女。
自分は守ってもらいたいわけじゃない、彼氏に寄り添い寄り添われたい関係でありたいとココロは吐露してくる。
これから先、また喧嘩で傷付くことがあるかもしれない。怖いことがあるかもしれない。
それでも自分は先の見えない未来に臆したくはないし、俺に臆して欲しくもないと彼女は綻んで頭を抱いてくる。
「何かあったら寄り添ってください。私にそうしてくれたように」
敵わないと思った。
俺は苦笑を零し、「ココロ。変わったな」こんなにも明るく前向きに、そして強くなった。本当に変わったよ、ココロは。
「ケイさんも変わりましたよ」
彼女の前でカッコつけることもなく素の心を見せてくれるようになった。
それって頼られている証拠ですよね、なーんておどけるココロに俺は笑声を零す。やっぱりココロには敵わないや。
バタバタバタ―。
ふと廊下から聞こえて来る足音。
おいおいこの足音をはまさかっ! 俺はヤーな予感を抱いた。
バッタンと襖が開く。
「にーちゃんただまぁ!」
こころ姉ちゃんとラブラブしてる?
襖と共に習字から帰宅した弟の浩介が現れた。
奇襲を仕掛けてきてやったぜとばかりに、得意げな顔をして部屋を見渡してくる。
「あれ? ゲームしてたの?」
上体を起こしている俺達は、ブラウン管の向こうに映っている『YOU WIN!』を見つめる振り。
ココロは弟に挨拶をし、「こら浩介」さも今までゲームをしていましたオーラを醸し出す俺はノックしてから入るよう注意を促す。
「デートなのにゲームなんて」
もっとラブラブしていると思ったのに、小学生らしいからかい心を持っていた浩介は残念だと肩を落とした。
んでもって居間から母さんのお叱りが飛んできたから、渋々退散の動作を見せた。
ホッと胸を撫で下ろしていると、浩介が俺の手に持っているコントローラーに視線を向けて首を傾げた。