青騒-I SAY LOVE-


―当日(Sat.)―


決戦の土曜日、じゃない、待ちに待った初デートの日。

天気は快晴、気温も良好、清々しい青空が俺を見下ろしている。


いつも身に纏っている制服から、ちょい洒落た私服姿を身に纏っている俺は駅前の広場時計下で携帯を弄くっていた。

ディスプレイに表示される時間に俺は息をつく。

なあにしてるんだろう、ココロ。

約束は十時なのに、もう15分も経ってるんだけど。


ココロって時間にルーズだっけ?

いやそんなことはない。

彼女、結構真面目な性格だから時間はきっちり守るタイプだし。
 

……まさか不良に絡まれた? 


また攫われたり…、だ、駄目だっ。

そんなことを思っちゃっ、ネガティブ田山圭太が発動しちまう!


到着したってメールは打ったけど、一旦電話を掛けてみるべきかな。

でも仮に準備をしていたら、急かしているようで悪いし。

ヨウ曰く、「女は身支度に時間が掛かる」そうだから、30分は長い目で見てやらないといけないらしい。
 
今15分経ったから…うっし、決めた。

残り15分は俺、悟りを開いて何も考えないぞ! 修行僧田山になって心を無にしてやる。

今から俺は駅広場の背景だ背景。

木にでもなったと思い込むぞ。

田山圭太は木に、木、木、木、き、KI、英語で木は? ウッド! 綴りは『wood』! 簡単な英単語なら俺、余裕で覚えてるんだぜ!
 

……、こんな馬鹿な事を考えている間に一分くらいは経ったかなー?

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