青騒-I SAY LOVE-
思い出す。
二度目の五十嵐戦の時、私は古渡さん達の手によって軟禁されていた。
それはそれは恐ろしい時間で、まさか忌まわしき彼女と再会するとは思わなかったんだ。
目前に現れた時は胃袋がひっくり返るかと思った!
幸いなことに、一緒に軟禁されていた日賀野さんチームの帆奈美さんが一緒にいてくれたから恐怖の時間は、完全な恐怖で染まることはなかった。
帆奈美さんとも仲良くなれたんだ。
今でもメールをちょくちょくしている。
響子さんが知ったら怒りそうだけど(彼女と仲が悪いんだ)。
皆が一生懸命、私を探し、そして助けてくれた。
皆の気持ちは決して忘れることはないと思う。
勿論、ケイさんが私を助け出してくれたことも。
私はあの当時の記憶を脳裏に呼び起こしていた。
ケイさんが助け出した私にブレザーを託し、舎兄の下に走って行ったことを。
形振り構わず、それこそ手腕のうんぬんさえ目もくれず、彼は舎兄の下に走った。
私は彼の背を見送ることしかできなかったし、帰りを待つことしかできなかった。
大丈夫だと信じていたけれど、どこかで落ち着かない気持ちが私を支配していた。
その内、何処からともなく倉庫から火があがり、待機していた私は響子さんや弥生ちゃんと共に血相を変えて全力疾走。
燃えている倉庫を目にした時は、絶句も絶句。
周囲に浅倉さんチームや仲間がいたから、そこに彼氏がいると思ったのだけれど姿はなく、まさか中にいるのかとつい血の気を引かせてしまった。
でもケイさんはそこにはいなかった。
話を聞けば、ヨウさんと共に五十嵐さんを追ったとか。
「ヨウが…、すべてを終わらせるために…、突っ走ってしまった。ケイはあいつの、足に…、なるために追ったんだ」
副リーダーの説明には緊張が含まれている。
二人は無事だと思いつつ、片隅で心配しているに違いない。
シズさんらしくない、険しい表情に私は不安で脳内を染まらせてしまった。