青騒-I SAY LOVE-

 
火事騒動は警察沙汰になったけれど、生徒指導対象程度で終わった私達は後日、ゲームセンターに行った。

「なんで俺まで撮らないといけねぇんだゴラァア!」

嫌がるタコ沢さんや、

「人数的に無理が…」

戸惑う五木さんも一緒に、私達はプリクラを撮ったんだ。


これはヨウさんの提案。

今まで喧嘩ばっかりだったから楽しい思い出を作ろうと、プリクラを撮ろうと言い出したんだ。


「リーダーと副リーダーは中央っしょ! ほっらぁ、時間がないんだからヨウちゃーん、シズちゃーん、真ん中に来る!」

「うぇ。狭ぇよ! あ、誰だよ、俺の足踏んだの!」

「……、むさい…」


提案者のくせにヨウさんは狭いだのなんだの文句たらたら。

シズさんは密度による蒸し暑さに眉根を寄せていた。
 

後は適当に並ぼうとごみごみした中を整列。

と、キヨタさんが「カップルは前に並んで下さいッス!」そっちの方がラブイ姿も映せると、とんでもないことを提案したものだから、私とケイさん、それから弥生ちゃんとハジメさんは半強制的に前に並ばざるを得なかった。


骨折という大怪我を負っているハジメさんは最初こそしゃがむと重心が傾いて倒れると主張していたんだけど、


「弥生に肩借りちゃえば?」


ニヤリと悪意ある笑みをヨウさんが浮かべたものだから、その主張は却下されることに。


「最悪だ」赤面しているハジメさんは、しぶしぶーっと弥生ちゃんの方を借りていた。


弥生ちゃんはとても嬉しそうだったけれど。


ケイさんはケイさんで男性陣から弄られキャラに成り下がっていた。


居心地悪そうに顔を顰めるケイさんを笑うと、「ココロは俺の味方だろ!」笑うところじゃないとツッコまれた。


だって面白いんだから、笑ってしまうのは仕方がない。


「あ、シャッターがくるぴょーん! みーんな、スマーイル! かっぽうはラブラブしてもOKよ? ケイちゃーん、どぅーう?」

「リア充ですんませーん! でも、空気読める子なんでラブラブはしません、此処では!」

「ということは後で? ヤーッダ、ケイちゃーんったら!」

「ヤーッダ、ワタルさんったらぁ! 俺ばっかり苛めちゃってからに!」
 

ヤケクソで弄りを受け流すケイさんに、チームは大笑い。

私も一緒に笑って、大切な仲間達と記念すべき一枚を撮った。

心の底からオトモダチと言える、大事なだいじなお友達。


それは世間体じゃ白眼視される不良達の集まり、でも私にとって心暖まる人達。



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