青騒-I SAY LOVE-


「おおっ、ノロケられた」

「ココロさん元気ッスね」


モトさんやキヨタさんの笑声を甘受しつつ私は大股で走るはしる。


持久走は大の苦手だけれど、そんなこと構ってられなかった。


今日は自分でも不思議なくらい気持ちが浮ついていたし、気持ちが高揚も高揚。


昂ぶった感情が彼に会いたいと切望していた。


だったら私は気持ちに従って彼に会いに行こう。

待つだけなんてつまらない。


なにより舎弟で忙しい彼なんだ。


自分から会いに行かないと、健気に待ち続けるなんてことしていたら日が暮れちゃう!


私は彼に合いたい。

だから自分の足で会いに行く。


だってケイさんのことが大好きだから!


もう少しでケイさんの通っている学校に着くというところで、私は足を止める。


弾んだ息もそのままに、私はこちら側に歩いて来る集団を見つけて破顔した。
 

「ケイさん!」


やや大きい声音で名前を紡ぐと集団が反応。


「おっと迎えじゃねえか」意味深に笑うヨウさんや、「愛されてるぽん!」揶揄するワタルさん、「熱いねぇ」ハジメさんにうんうんと頷く弥生ちゃん。


無理やり集団に引き込まれているタコ沢さんは向こうのカップルに、お前等が言うなってツッコんでいた。


仲間達の茶化しもなんのその。


ケイさんは気にする素振りも見せず、押していた自転車に跨って一足先に私の下に来てくれた。

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