青騒-I SAY LOVE-


次いで、


「乗ってココロ」


指示されたから私は急いで自転車の後ろへ。

「じゃ。お先」

ケイさんは後でお会いしましょうと仲間達に手を挙げ、ペダルを踏み始める。


前進する自転車がガクンと揺れたせいで、私の視界もガクンと揺れた。


しっかり彼の両肩を掴むと、ケイさんが首を捻って笑顔を向けてくる。


「なあ、ココロ。ちょっと寄り道しないか? 俺、美味いたい焼き屋を知ってるんだ」


二人で食べに行こう、そう誘ってくる彼の気持ちが手に取るように分かる。

ケイさんは私の迎えに喜んでくれているんだ。

そして私と同じように会いたいと思ってくれていた。



それこそいつも以上に強い気持ちで。


初デートの余韻なのかな?

私との時間を作ってくれる彼の誘いに断る理由もない。私は元気よく行くと答えた。


「よっしゃ、決まりだな」


仲間には秘密だぞ、おどけるケイさんは颯爽と自転車を漕ぐ。


そんなケイさんを見つめ、私は人知れず心を躍らせた。


ふと脳裏にばあばの言葉が過ぎる。
 
 
< 305 / 322 >

この作品をシェア

pagetop