青騒-I SAY LOVE-


俺達は視線を副リーダーに向けた。


欠伸を噛み締めていたシズは全員の視線を受け、「自分…?」え、冗談だろとばかりに焦燥感を漂わせているが、これはシズが適任じゃないか?

こいつなら立ち回りも兄分っぽいし、普段は食うか寝るしかしねぇから人を褒めるなんざ殆どしねぇだろうし。

面倒見もいいから副リーダーをしているわけだし。


焦るシズを放っといて決まりだと俺達は全員一致で話を纏めた。
 

丁度いいタイミングでケイとココロが戻ってくる。

響子は目で準備開始だと合図。

これまた目で俺達はシズに頑張れと声援を送り、当の本人は困惑も大困惑していた。
 

まずはケイとココロを引き離す必要性があるんだけど、これはすぐに解決。

ケイがチャリを倉庫で入り口に置いているらしく、これからチャリを倉庫裏にとめに行くとか。


ジャストタイミングじゃねえか!


俺達は目でシズにゴーサインを送った。皆して勝手だと嘆きながらシズは重たい腰を上げ、ケイの下へ。
 

はてさてお次はココロをケイ達の下に行かせないよう、足止めをしないとならねぇ。
 

これは弥生の出番だ。

弥生がココロに話を持ちかければ自然と談笑になるだろうから、これも無事クリア。


二人が駄弁っているのを脇目に、俺達は倉庫裏に足を忍ばせてシズの勇姿を見守ることにする。

チャリに鍵を掛けているケイはシズに声を掛けられて、「どうしたんだ?」と不思議そうに首を傾げていた。


やっちまえよシズ、テメェの副リーダー能力が試されるとこだぜ。


俺達の視線に気付いているシズは、ぎこちなくこっちを一瞥した後、「…今日は」いい天気だな、と話題を切り出した。

「え。うん」いい天気だけど…、その話題、今更じゃ…、ケイにツッコまれ、シズは遠目を作る。


……早々に匙を投げちまいそうだな、あいつ。


いやでもテメェならやれっぞ、シズ! 頑張れシズ! 我等が副リーダー!
  
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