青騒-I SAY LOVE-


「その、だな…、実は相談…があってだな」

「相談? シズが俺に? それまた珍しいな。喧嘩でもあったのか?」


なるほど、相談作戦に出たか。

ケイに相談を持ちかけて、解決させたケイを褒める。

矢印、ケイは好い男だと結びつけ、相手に自信を持たせるって寸法か。


名案だぞ、シズ!

 
「ケイは…、相談されて大丈夫か?」

「いいよ。俺で解決できるか分からないけど」

「そ、そうか…、あー…、なんだ…、言いにくいんだが…、実は…あー実は」


……相談内容に困ってらぁ、あいつ。

俺達が頑張れオーラを発していると、「その…」シズがぼそりと呟いた。んでもってキリッと顔を引き締め、相談内容をぶちまけた。



「だ、ダイエット…を、し、したくてだな。食べる量を制限したいんだが…、ケイに相談を」



……、……、終わったなこの作戦。


シズにもっとも縁のない相談内容に俺達は溜息をついた。

もっとマシな相談あっただろうに。

ケイはケイで、はい、何言ってんの? みたいな顔しているし。


「シズがダイエット?」「あ…いや」「シズが?」「…その」「シズがぁ?」「…う゛」「食べる量を制限?」「………」「しかも俺に相談?」「………」


「シズがダイエットって、しかも食べる量を制限って。ははーん、分かったぞ。ドッキリだな! 俺の反応を見るってアレだろ!
ったくもう、そこにヨウ達がいるし、俺はその手には引っ掛からないんだからな。食べ放題の店でも探せって言われると思ったぞ」


フツーに俺達の存在に気付いているし。

「退散だ退散」

溜息混じりに引き上げる俺等に、「自分…のせいじゃないぞ!」シズは溜息なんて心外だと大反論。

ケイを置いて俺達の下に駆け寄った。


いきなり自分に役を振ったお前等が悪いと鼻を鳴らすシズの言い分にさえ、俺達は大袈裟に溜息をついた。


「なんだったんだ? なあ、皆、これってなんのドッキリだよ」


当の本人はドッキリだと勘違いしているし。

< 313 / 322 >

この作品をシェア

pagetop