青騒-I SAY LOVE-


―――…あれは高校に入学して1ヶ月経った頃だったか。


私、若松こころは耐え難い中学校を卒業して無事に某私立高校に進学していた。
 
耐え難いというのは、私自身の性格に問題があって小中時代はいじめられっ子として皆から見られていた。

今思えばいじめられても仕方の無い性格だった。

何故なら私の性格、じめじめでおどおど、物事をハッキリ決められず、意見も言えず。

何をするにしても自信がなかったから、又、自分を持っていなかったから皆に疎ましく思われていた。


おかげ様で小中時代の思い出は散々。


良い思い出がこれっぽっちもない上に、皆から根暗だの何だのチャチを入れられていたっけ。


それで家に帰ってばあばやじいじに泣きついて、もう学校に行きたくないだの何だのとウジウジしていた懐かしい思い出。

 
高校に進学してからは、いじめ自体なくなったものの、私自身の性格が変わったわけじゃないから、クラスメートと馴染めずよく孤立していた。

新一年生になった皆は新しい環境で新しい友達を作り始めているというのに、私は完全に波に乗れず置いてきぼりになっていたのだ。


孤独は当然あったけれど、寂しい思いもあったけれど、いじめられるよりはマシだと思っていたから、これでいいって自分自身に言い聞かせる私がいた(本当は寂しいって思う自分がいたくせに)。


昼休みも適当に場所を見つけては一人で昼食を取る毎日。

じいじ、ばあば、私を凄く心配して「お友達は出来た?」ってよく聞いていたんだけど…、当時の私にはとても苦痛な質問で、あまり学校の話題は家で出さないようにしていた。


出だしからしくじったかなぁ、もっと明るく振舞ってお友達を作れば良かったかな。


そう思い始めていた五月中旬のある日の昼休み、その日も私は人目のつかない場所を求めて彷徨っていた。


独りでも気楽に昼食を取るために。

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