青騒-I SAY LOVE-
(昨日は学食の隅っこで食べて、一昨日は教室…、今日は外で食べようかな。中庭、誰もいないだろうし)
お弁当と水筒の入った手提げ袋を片手に彷徨っていた私は小さく溜息をついた。
こうして毎日まいにちまーいにち、人目を気にして、昼食を取る場所を探すなんて馬鹿みたいだ。
周囲に孤立していることを知られたくないから、場所を点々としているけれどそろそろバレても良い頃合。
バレたらまたいじめられ…、想像するだけで背筋がゾッとする。
「いじめられるくらいなら」
存在をひたすら空気にするしかない。するしかないんだ。
自分に言い聞かせて、私は砂利の敷き詰められた道をトボトボと歩く。
(学校、楽しくないな…。高校に入ったはイイケド…集団生活、私には向いてないんじゃないかな)
孤独になればなるほど卑屈ばかりが込み上げてくる。
こんな自分が嫌いだ、ガックシと肩を落として歩いていると、「三ヶ森!」怒声が聞こえた。
なかなかなボリュームに私はびっくりして身を小さくする。
ナニナニ? 今の怒鳴り声。
センセイっぽいけど。
周囲をグルッと見渡して見る。
と、体育館裏で怒鳴り散らしている先生らしき人と一人の女子生徒。
かったるそうに怒声から逃げている女子生徒は、「これで最後だっつーの」吸っている煙草を掲げて見せた。
……煙草…、つまりそれは…、あの人、不良…。
えええっ、この学校にも不良がいるの?!
確かにギャル系な子はいるけれど、不良って…不良って!
その女子生徒は先輩みたい。私の履いている上履きと色が違った。
フロンズレッドの髪を肩後ろに持ってきて、彼女はもう煙草は持ってませーんっと両手を挙げて見せている。
……生徒指導の先生に喫煙を見られて説教されているみたい。
うわぁ、不良さんってメンドクサイことするよね。
黙って先生の言うことを聞けば、怒られずに済むのに。