青騒-I SAY LOVE-
「ううっ、そして、いじめられたりしたりして。
そ、それはヤダ。先生に怒られるならまだしも…、またいじめられ…頃合を見計らって、返してこよう」
うん、そうしよう。
私は変に高鳴る鼓動を押さえ、大きく溜息をついた。
先生にチクっても良かったけど、追々のことを考えると不良さんの方が怖かったんだから仕方が無いよね。
絶対に顔を覚えられたと思うし…、はぁーあ…私の馬鹿。
5分後、私はさっきの場所に恐る恐る戻ることにした。
体育館裏には…、あ、さっきの女不良さんはいる。
でも先生はいないみたい。ということは放課後お呼び出し、みたいなカンジかな?
女不良さんは体育館裏の段差に腰掛けて不機嫌そうに座っている。
「煙草」と、ぼやいているところを見ると…、あああっ、は、早く返さないと不本意ながらも煙草を拾った私の身が危ない!
私はおずおずと女不良さんに歩み寄る。
だ、大丈夫。さっきの煙草を返して逃げれば終わり、逃げれば終わり、返す、逃げる、エンド。
っ、頑張れる…。
「ん? アンタさっきの。どうした、アンタ迷子か?」
あああああっ、話し掛けられてしまった気付かれてしまった不良さんがこっち見てるっ!
ガッチゴッチに緊張する私だけど、
「…こ、こ、こ、こんにち…は」
頑張って挨拶することに成功。
急いで手提げ袋に入れていた未開封の煙草を彼女に差し出した。
「こ、これ! ひ、拾いまして…、け、決してパクろうとかはなくってですね!」
「なーんだアンタが匿ってくれてたのか、サンキュ。マジ助かった。
学年主任に見つかって、マージ説教の嵐でさ。
見つからないよう投げたはイイケド、愛しの煙草の行方が分からなくなってたから、ヘコんでたんだ」
ありがとう、普通にお礼を言ってくれる女不良さんの笑顔に私は呆けてしまう。
結構良い人…、怖くない、かも。
「しっかしアンタもお人好しだな。匿ってくれるなんて。しかも律儀に返すとか、フツーしないだろ」