青騒-I SAY LOVE-
「響子さんはいつも此処でご飯を食べてるんですか?」
「んにゃ、今日はたまたま一人だったからな。いつもは空き教室で仲間と飯食ってる。と言っても、野郎一人だけどな」
「…彼氏さんですか?」
「ジョーダン! あれと付き合うなんざ食費が幾ら掛かるんだか」
響子さんみたいな性格なら、もっとお友達と和気藹々食事をすると思ってたのに。
目をパチクリする私の心情を読んだのか、響子さんは教えてくれる。
学年じゃ浮いてる方だと。
何故なら自分、不良だから。それに学年の女どもとは気が合わない。
だったら気心を抱ける友達と一緒にいた方がいい、と響子さんは意味深に説明してくれた。
……浮いている存在なんだ、響子さん。そうは見えないけど。
ええっと…こういう時はなんて言葉を…、うーん、あんまり経験したこと無いからなんとも言えないけど。
「大丈夫です響子さん。浮いている中にも更に浮いている人、いますから!
わ、わ、私…結構なまでに浮いてますし! ね、根暗ですし! 毎日昼食場所を彷徨ってる亡霊さんですし!」
「ぷははっ、なんだそりゃ!」
自己流の励ましは響子さんを爆笑させてしまったみたい。大声で笑われてしまった。
ううっ、自虐ネタといえば自虐ネタだけど…、こんな励まし方くらいしか思いつかなかったんだもん。
オドオドオロオロとして笑う響子さんを見つめていれば、「悪い悪い」目尻の涙を拭く彼女の姿。
「いや、な。うちは昔エンコーしてたってのもあるんだ。
それがクラスの奴等にばれて、距離置かれてたり、浮いてたりするわけなんだが」
うわぁあ、エンコー。さすがは不良さん!
…だけど。
「エンコーと根暗、どっちが…浮くんでしょうね?」
うーん、私は首を傾げて顰め面を作った。
どっちもどっちだと思うけど、エンコーって昔の話だって言ってたし、私なんて現在進行形で根暗だし。確実に私の方が浮くんだけど。
「ううっ、エンコーよりタチ悪いです」
だって私、根暗現在進行形ですから、落ち込み気味に響子さんに言ったらまた爆笑された。
ひ、酷い、私、真剣に嘆いてるのに!