青騒-I SAY LOVE-
静馬さんの問いに響子さんはたっぷり間を置いて、「そうだな」そろそろ顔を出すか、と私を流し目にしてきた。
「え゛?」
なんですか眼、その引き攣り声を出す私にニッコリと笑みを浮かべて、響子さんは頷いた。
で、静馬さんに向かって私をこう紹介する。
「シズ、ココロはうちの妹分だから。ヨウ達に紹介するぜ。ココロを今日、ゲーセンに連れて行く」
響子さんの指すゲームセンターは地元で一番大きなゲームセンターだった。
三階建のゲームセンターを目の前に、私は昇天しかけるんじゃないかと憂慮を抱いて仕方が無い。
だって此処、地元では有名過ぎる不良のたまり場だから。
二階までは良識ある一般市民さん達が行き交いしてるらしいんだけど、三階は魔のフロアだって聞いた事がある。
そう“魔”と呼ばれるだけあって、三階フロアはとてもとても物騒。
響子さんは別として静馬さん…じゃないシズさんともロクに喋れてないのに(静馬さんから「シズって呼べ」って言われた)、お仲間さん不良にお会いするなんて…、私…、大丈夫かな。
テンパらないかな。
ヤらかさないかな。
折角響子さんとお友達になれたのに、ヤらかしちゃって失望されて呆れられてお友達を失う。
そ、そんなの絶対嫌!
なるべく失敗しないと心に強く決めて、私は響子さん達と一緒に魔の三階フロアに足を運ぶ。
ガッタンガッタンと段の上がる地獄のエスカレータに足を乗せて、三階にのぼってみると…、やっぱり頑張れないんじゃないかと気持ちがポッキリ折れた。
響子さんのお仲間って噂どおり、みーんな不良!
しかも女の子、ひとりしかいない。後は皆、男の子。ひとり中学生が交じっている。
男の子も女の子も髪染めてるし…、ううっ、こっちを見る目が怖い。
みんな、怖いんだけれど。