青騒-I SAY LOVE-
心底恐怖心が襲ってきて、思わず響子さんの後ろに隠れた。
「ダイジョーブだって」
響子さんが私の雰囲気を察してくれるけど、私、自分で一杯一杯です。
ブルブルッと体の芯から震えが起こる。
「響子じゃねえか」
私達の登場に、逸早く声を掛けてきたのは金髪赤メッシュの男の子。
ギュッと響子さんの制服を握り締める私を余所に、その人は気さくに「久しぶりじゃねえか」何かあったんじゃないかって心配してた、と笑顔で話題を切り出している。
笑顔もそうだけど、この人、すっごく顔が整ってる。容姿端麗。
ちょこっとだけ見惚れていたら、彼とバッチリ目が合った。
ビクッと肩をはねらせて、サッと身を隠してしまう私の馬鹿…、これじゃあ第一印象最悪だよ。
どうしようっ、呆れられたかもっ。
ああもう自己嫌悪!
「響子、こいつは?」
ううっ、話題がこっちに…、じ、自己紹介っ? それとも挨拶っ? ああもうやだっ、帰りたい!
ギュッとギューッと響子さんの腰にしがみつく。
「ん?」
人見知りなのか? 顔を覗き込まれたことに気付かず、私はおずおず顔を上げて…、間近にイケメン不良さんの顔がドアップ。
目が点、次いで絶句、挙句にテンパってあわてふため―ゴンッ!
「アイッデ!」
「アイタタっ」
挙動不審になった私は最悪な事に、イケメン不良さんと頭をごっつんこしてしまいました。
地味に痛い。
地味な私が言うのもあれだけど、すっごく痛い。
「くらあぁあ、ヨウ! ココロを苛めてんじゃねえぞ! うちの妹分なんだから!」
「苛めてねぇし、今の、俺に責任あっか? ……、あーイテェ。てか妹分? 響子の?」
マジマジ私を見てくるイケメン不良さんに、私は額を擦りながらぶつかったことを謝罪。そして小さく小さくなりながらまた響子さんの後ろに隠れなおした。
絶対に呆れられた。嫌われた。鬱陶しいと思われた。
出鼻が大事なのに、挫く真似をしちゃうなんて…、馬鹿すぎるよ、私。
自分の大失態に心中嘆きながら、私は自分の殻に閉じ篭った。
折角響子さんがお仲間を紹介してくれているのに、ちっとも頭に入らなかった。