青騒-I SAY LOVE-


(はぁーあ…、やっぱり来るんじゃなかったかもな)
 
 
スロットマシーンの椅子に腰掛けながら、私はズルズルと自分の失態を自責。
 
紹介が終わった後、皆、思い思いにゲームセンターで遊び始める中、私はどうしても溶け込めず三階フロアの隅っこでジッとしていた。

どう考えても溶け込める雰囲気じゃないと思う。

だって私みたいな根暗が、不良さん達と溶け込める…わけないだろうし。
さっきのこともあるし。

何よりも不良さん達と全然喋れなかった。

苑田さんって女の子が声を掛けてきてくれたけど、緊張して、緊張して…、慌てふためいただけ。

せっかく愛想良く声掛けてきてくれたのに一抹も喋れなかった。

響子さんも他の人と喋りたいだろうから、ベッタリしておくわけにも…、はぁーあ…、どうしよう。これから。
 

ゲームセンターなんて来たこともなかったから、何をすればいいか分からないし。

小さな吐息をついて、足元をブラブラ。手持ち無沙汰になっちゃった。


こつんっ、突然おでこに何かがぶつかった。痛くはないんだけど冷たい。
 

ゆっくりと顔を上げれば、さっきのイケメン不良さんが「奢り」笑顔で私に缶コーラを手渡してくれた。

「あ、ありがと…ございます」

受け取る私のお礼といったらもう…、愛想も何もない。

だけどイケメン不良さんは気にせず、私の隣に並んで「ゲーセン初めてだろ?」話題を振ってきてくれる。

コクンコクン頷く私は何を楽しめばいいか分からないと、ポツポツその人に吐露。

そしたらイケメン不良さんは、堅苦しいことを思わなくてもいいんだって笑って腕を取ってきた。

びっくりする私に、

「こっちこっち」

強引に腕を引いて、二階へ。
 

「いいか、ココロ。ゲーセンの心得を教えてやる。ゲーセンってのはな、喧嘩の一種だ。UFOキャッチャーくれぇは知ってるだろ?」


うんうん頷く私はイケメン不良さんと、一台のUFOキャッチャーの前に立っていた。

「け…喧嘩なんですか?」

おずおずイケメン不良さんに尋ねれば、

「ああ。ガチの喧嘩だ」

やけに真顔になって五百円玉を取り出した。
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