青騒-I SAY LOVE-
「わっかる。俺も舎弟に成り立ての頃を思い出すと、あれから三年も経ったような気になるよ。あの頃は俺も若かったなぁ。
なにせ、あの頃の俺はヨウの舎弟をどう白紙にしようか毎日考えてたしな。今じゃあの愉快な不良達がいないなんて…、考えられないな」
「はい。とても」
うんっと一つ頷いて私はカップジュースをストローでゴクリ。オレンジの味が口内いっぱいに広がった。
「ホラ、ココロ」
ポップコーンもあるから、ケイさんはカップに入ったポップコーンを私に差し出してきた。
だけどその際、
「始まって観た方が美味いから」
食い過ぎ注意な、それから飲み過ぎにも注意!
手洗いに行きたくなる!
ケイさんの注意事項に私は笑ってしまった。
ホント、ケイさんって楽しい人です。
一緒にいるだけで自然と笑みが零れてくる。
そういうモノをケイさんは持ってる、だから私は彼に誰よりも憧れを抱いたんだろうなぁ。
似たり寄ったりの人種でありながら、私と決定的に違うモノを持っているケイさん。私はそのケイさんに強い強い憧れを抱いた。
最初は憧れだけだった。
それがどうして恋心に発展したのか、今でも明確な理由が見えない。
積み重ねの日々が恋心に発展した、としか説明のしようも無い。
理由さえ見つからないほど好きになってしまったのだ、田山圭太さんって地味っ子くんを。
―…ねえ、ヨウさん、私はいつもヨウさんに感謝していることがあるんです。
何だと思います?
勿論、私はヨウさんの気さくな面に憧れを抱きましたし、すんなりと仲間として受け入れたことに…とても感謝しています。
だけど何よりも感謝していることがあります。
それは貴方がケイさんって男の子を舎弟にしてくれたことです。
貴方がケイさんを舎弟にしなかったら、私はこの人を好きになることもなかった。
契機を作ってくれたヨウさんには大きな感謝を捧げたいです。