青騒-I SAY LOVE-
「ヨウさんに…舎弟、か」
舎弟を作ったって発言にモトさん、表情には出していないけれどすっごく衝撃を受けた様子だった。
表情に出せないくらい衝撃を受けたって言った方が適してるかもしれない。
私が彼の立場ならショックのあまり絶句するかも。
だってモトさん、それだけヨウさんのことを慕っているから。
とにもかくにもヨウさんは得意気に舎弟をノリで作ったと話してくれた上に、後日此処に連れて来て紹介するから、と私達に言ってきてくれた。
大丈夫かなぁ…ヨウさんとその舎弟さん、見るからにノリだけで決めちゃってるけど。
ヨウさん、舎弟を作るの意味を軽く考えてるんだろうなぁ。
ヨウさん、好い人なんだけど、一方で感情とその場の流れに任せて物を決めちゃう悪い面があるから。
私の懸念は仲間内でも広がっていた。
ヨウさんから舎弟作りました報告を受けた日の夜、皆でファミレスでご飯を食べていた時のこと、男女のテーブルに分かれてご飯を食べていたんだけど…、
その時、弥生ちゃんが「大丈夫かなぁ」ってポツリと零した。
何が大丈夫なのか謂わずも。
私は向こうのテーブルについて和気藹々と駄弁っている男の子達に視線を流した。
張本人のヨウさんは至って平然としているし、彼を慕っている弟分のモトさんもヨウさんの語りに笑声を漏らしているけれど、いるんだけれど、何処かその姿は余所余所しい。
別にその舎弟さんが悪いわけじゃないけれど、ヨウさんが舎弟を作ったことによってグループの仲がギクシャクなるんじゃないかって不安が募ってしまう。
そう思うと、なんで向こうも舎弟を受け入れちゃったのかなぁ…、なんて思ったり思わなかったり。
ヨウさんの話によると不良さんじゃない、とっても地味な子らしいから、きっと向こうも断りきれなかったんだろうな…、っていうのが私の憶測だ。
響子さんはふーっと紫煙を吐いて、煙草の灰を灰皿に落としながら口を開いた。