青騒-I SAY LOVE-
あ、そうだ。響子さんに言わないと。
私は姉分の響子さんにやんわり否定を入れた。
「大丈夫ですよ。ケイさん、私の気持ち、よく気付いてくれますし。
そ、そそそれに…、こ、今度の土曜日……を……するんで」
「え…」「は?」私の言葉に固まる響子さんとシズさん。
あうあうっ、言葉が詰まる。
そこで固まられると、私、もっとモゴモゴになっちゃうんですけど。
指遊びをしながら、二人に小声で告げた。
「だから…を…するんです…」
ケイさんと…、約束してて…、と私はモゴモゴモゴ。
ぎゅーっと身を小さくする私に、
二人は「……」
そうすると私も「……」
皆で「……」「……」「……」
所謂沈黙な雰囲気が出来上がる。
そんなにおかしなことを言った覚えは…、不安になって二人に視線を流せば、響子さんがレモンを丸呑みしたような顔を作ってブツブツ。
止めるべきなのか、それとも本人達に任せるべきなのか、なんて言ってる。
シズさんはシズさんで、「意外と早い…」なんてメロンパンを咀嚼しながら遠目を作っていた。
取り敢えず、楽しみにしていることを告げれば二人がますます「……」「……」、私も「……」、これは一体…、どうしたものでしょう。
「合意の上…、響子…、もはや手遅れだ」
「分かってる。分かってるんだよっ!
娘ってのはなぁ、いつかは成人になって大人になるなるもんだっ。
けどな、けどな~~~っ、ケイの奴に電話する!
あんにゃろう、分かっててココロと約束したのかよ!」
「お…おい」シズさんが止めに入るけど、響子さんは素早く携帯を取り出して、ケイさんにお電話。余所で私はアタフタ。
だけど脇目も振らず、響子さんはコールを待って、
『もしもし?』
というケイさんの声に、
「ンのバッキャローガァアア!」
怒声を撒き散らした。