青騒-I SAY LOVE-


「って、まだ私、日曜の待ち合わせ決めてない。ハジメ、ちょっとハージメ!」

 
思い出したように手を叩いて、弥生ちゃんは男子群のテーブルに向かう。


「ねーえ。ハジメったら!」


男子達と駄弁っているハジメさんに積極的に声を掛ける弥生ちゃんを見ていると、本当に彼のこと、意識してるんだろうなぁ。


見るからに恋してるってカンジ。

 
羨ましいなぁ。私も、恋愛の一つでも経験してみたいけど…、こんな性格だし、地味だし、魅力ないから…、片恋で終わりそう。

実際小学生の時に恋愛に似た初恋を味わったけど、それはやっぱり片恋で終わった。
 

まずこんな私を好きって言ってくれる人いるのかなぁ。


こうしてドンドン恋愛と疎遠になっていって、三十路を過ぎてもお付き合いってジャンルの恋愛をしたことがなくって、挙句お見合い結婚をして大失敗。

離婚しちゃってバツイチ、バツニ、バツサンっ、天涯孤独な人生を歩む。


うわぁ、お先真っ暗な人生。

大人になりたくないなぁ。


子供だからこそ、まだちっちゃな希望を感じるられるけど…、大人になったら私、負け犬になるんだ。


どーんと落ち込んで溜息をついていたら、私の心情を見透かしたのか、正面に座っている響子さんが笑声を漏らしながら声を掛けてきた。
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