青騒-I SAY LOVE-


―…あれ?

今、ケイさんの「仰るとおりで」の台詞の前に随分間があったけど…、気のせいかな?

首を傾げる私を余所に、モトさんはケイさんに突っ掛かって表に出ろだの、勝負しろだの、舎弟なんて認めないだのギャンギャン喚いている。


ケイさんが来る前から舎弟のことで鬱々としていたモトさんだけど、ケイさんの姿を見た瞬間、何かが吹っ切れたみたいで所構わずケイさんに突っ掛かっている。

この人がヨウさんの舎弟なんて絶対にありえない、何度も怒声を上げているもんだから、モトさんがどれだけヨウさんを慕っているのかの度合いが分かる。



始終認めないコールを浴びせられているケイさんに、心底同情していた時、又、ヨウさんがモトさんを宥めていたその時、緊急事態発生。



シズさんの携帯にSOSコールが来た。

それは外出していたハジメさんと弥生ちゃんが出したもの。


二人は日賀野大和さんが寄越した刺客に襲われているのだと言う。
 

「今…、川岸の廃工場に逃げ込んだらしいがハジメだけじゃ対応できない人数らしい」
 

険しい顔を作るシズさんに、ヨウさんは舌打ち。

 
「あいつ等っ、ハジメがあんま喧嘩デキねぇこと知って狙いやがったんだ。ちっせー奴等ッ」
 
「川岸の廃工場は途中までしか俺サマのバイクでも行けねぇぜ。どうする?」
 

「だったら走って行くだけだ」
 

ぜってぇ仲間を助ける、ヨウさんは脇目も振らず一目散に駆け出した。
 
誰よりも仲間を大切にしえいるヨウさんだから、この行動は付き合いの浅い私でも容易に想像がついた。

けどケイさんは初めて、仲間のために突っ走るヨウさんを目の当たりにしたみたい。

唖然として彼の背中を見送っている。


うん、その気持ち…すっごく分かる。


私も初めて彼の突っ走る姿を見た時は、本当に驚愕の二文字しか出なかった。
友達のためにそこまで動くんだ、動けるんだって思うよね。私も思ったもの。
< 64 / 322 >

この作品をシェア

pagetop