青騒-I SAY LOVE-
とにもかくにも、仲間達が喧嘩に参戦する間、私は此処で待機。連絡係りを受け持たないと。
喧嘩に参戦する…じゃ、足手纏いだしね。
皆が行動を開始している中、私は途方に暮れているケイさんに声掛けをした。
「みんな、お、お強いんです。ケイさん、あ、安心して下さいね」
きっと喧嘩も初めての経験だろうから…、舎弟として何をすればいいか分からないと思う。
ええっと…、私が彼に教えてあげられることは高が知れてるけど…、でも教えないよりはマシだよね。
「…なあ、川岸の廃工場って言ったよな?」
「え? …ええ」
と、それはでダンマリと皆の行動を見守っていたケイさんが重い口を開く。
宙を見つめているケイさんが何を思っているのか、私には察してあげられず、ついオロオロと相槌。
するとケイさんは苛立たしげに溜息をついて、舌を鳴らした。
「川岸の廃工場。走っても二十分は掛かるぜッ。バイクで行けねぇなら…ったく、俺って馬鹿じゃねえ?!」
言うや否や、ケイさんは床に転がっていた自分の通学鞄を拾ってエスカレータに向かう。
「あ、ケイさん」
思わず呼び止めると、ケイさんはあどけない、何処か諦めた微笑を浮かべて私に手を振った。
「ココロだっけ? ちょっと俺、皆と行って来るよ」
「行って来るって…」
「舎弟は舎兄を追い駆けなきゃいけない存在みたいだし? 行かなきゃ…、俺はヨウの舎弟なんだから」
ケイさんの真剣な眼差しに唖然の愕然。
結局彼を呼び止められず、私はひとりゲームセンターで待機することになった。