青騒-I SAY LOVE-
その後の喧嘩はハジメさんが病院に送られる代償を負ったものの、見事に喧嘩に勝利。
これを契機にケイさんはグループにじんわりと馴染めるようになった。
最初こそ突っ掛かっていたモトさんも、舎弟こそ認めていないけれど仲間としては認めたみたいでケイさんと会話するところも多々見受けられるようになる。
ゲーマーなモトさんはケイさんが沢山ゲームソフトを持っていると知るや否や、
「センパァアイ!」
なーんて言ってケイさんを追い駆け回すところもちょくちょく見られたり…。
「ケェエエイィイイセンパァアイ!
なあなあっ、今話題のロープレハートもう買ったか?! なぁああ! アンタなら買っただろぉお!」
「ダアアッ、来て早々お前はそれか!
ちょっ、野郎に引っ付かれても俺、嬉しくねぇ! ヨウのところに行けぇええ!」
三階フロアにやって来たケイさんを待ってましたとばかりに追い駆け回すモトさん。
あんなに舎弟のことでは文句タラタラだったのに、よっぽどゲーム話をしたいのかケイさんを執拗に追い駆け回していた。
で、ケイさんは反射的に逃げ回り、スタミナ切れを起こしてモトさんに捕まるという…。
何だかんだでケイさんはノリがいいから、皆と馴染むのにそう時間は要さなかった。
不良相手でも堂々話し掛けるし、話し掛けられているし。
寧ろノリをかましているし。
同じ系統で親近感も抱くのに、ケイさんって凄いなぁ。
何より凄いって思ったのは自分から喧嘩に参戦したこと。
舎弟だからって肩書きだけにしない、そんな男前なところに驚かされた。
響子さんは「ケイって意外に負けず嫌いかもな」って笑って言ってたっけ。
そうかな?
舎弟の仕事を全うしたいだけだから、喧嘩に参戦したんじゃ。
場の空気に合わせるって地味っ子の得意分野だし。
私は響子さんにそう返したけれど、彼女は負けず嫌いだって強く押した。
その時の私にはイマイチ理解できなかったけれど、響子さんの言うとおり、近い未来、ケイさんが隠れ負けず嫌いだってことが判明する。