青騒-I SAY LOVE-
ううっ、空気がもっと重くなったんだけど。
ゲームセンターの軽快なBGMがとっても煩わしいほど、空気がどんより。どうしよう。
「あぁあっ、今のはぜぇえったいオレのせいだっ!
……頭に血がのぼってたからってっ、言っていい言葉と悪い言葉があるのにっ」
モトさんが頭を抱えて身悶えを始める。
そういえばモトさん、お二人が喧嘩する前にケイさんに突っ掛かっていったっけ。
それが引き金で二人は大喧嘩をしちゃった…、んだけど、うーん、モトさんが頭を抱えたところでどうすることもできないような。
居た堪れなくなった私は一旦、怪我を手当てした時に出たゴミを捨てるために二階へと下る。
三階にはゴミ箱が設置されていないから、二階に下りないといけないんだけど…、私はゴミ捨てに行きながら何か空気を打破できる策はないかと考えていた。
当事者達の仲直りが一番なんだろうけど、喧嘩直後の仲直りはないだろうし。うーん。
経験のない場面に直面し、悶々と考えながらゴミ箱にゴミの入ったビニール袋を投げ放る。
そしてそのまま踵返し…、あ。
私は足を止めた。
二階フロアの四隅に佇んでいるケイさんを発見する。
ケイさんは壁に背中を預けて、ぼんやりと床を見つめていた。
けど、すぐに瞼を下ろして「最悪だ」苦言。二の腕を握り締めて、爪を立てている。
「ダッセェ…、ホント…。馬鹿だ、俺」
私はケイさんは小さな小さな独り言を聞き取ってしまった。
励ましの言葉を掛けられるかどうか分からないけど、もしかしたら何か元気付けられる言葉、掛けてあげられるかも。私はそっとケイさんに歩み寄る。
だけど途中で、「待った」後ろから肩を掴まれて前進する事が不可になってしまった。
ゆっくりと振り返れば、容姿端麗の顔が視界に飛び込んでくる。
私に視線を投げてくるヨウさんは首を横に振って、「今はそっとしておいてやれ」小さく助言をしてきた。
「ケイ、一人になりたいんだと。頭冷やしたいそうだから…、そっとしておいてやってくれ」
「ヨウさん…」
「結構あいつ…、プライド高いみてぇでな。俺等に弱ってるところ見せたくねぇんだよ」