青騒-I SAY LOVE-

……でも、なんて声を掛けていけばいいんだろう。

うーん、私、ケイさんがオトモダチさんと大喧嘩しているところを目撃しているしなぁ。

変に気遣った言葉を掛けてもあれだけど、無神経に言葉を掛けてもあれなわけで。
 
うんうん悩みながら、


「こんにちは」


私は取り敢えずケイさんに挨拶。

「あ、ココロ」

ケイさんは微笑を向けてきた。
片手を挙げてくるケイさんだけど、直後顔を引き攣らせた。軽く呻きながら腹部を優しく擦り始める。
 
「ど、ど、どうしたんですか? ケイさんっ。お腹でも痛いんですか?」
 
オロオロとする私に、「か…体が」ケイさんは表情をそのままに呻き声を出す。


「わ、笑えないくらい…痛いんだ。
昨日のフルボッコと、大喧嘩…、が、俺の体の許容範囲を超えてっ。いってぇっ。筋肉痛とは違った痛さっ。この体でエアホッケーとか無理だしっ、格ゲーもちょい、ボタン押す時体に響くから無理だしっ。だけど暇だし」


あ、だからケイさん、ヨウさん達のお誘いを断っていたんだ。
 
納得する私はケイさんの隣に腰掛けて、

「何か買ってきましょうか?」

湿布とか、そういった類(たぐい)のものを薬局に行って来るけれど、と彼に提案。

するとケイさんは慌てて首を横に振って大丈夫だと笑顔を作る。
首を横に振ったせいでまた体に痛みが走ったみたい。顔が盛大に引き攣っている。


「ケイさん…やっぱり買ってきましょうか?」

「だ、大丈夫! そ、それよりごめんな」


ケイさんは話題を逸らすように私に謝罪を口にしてきた。


……謝られることなんてあったっけ?


首を傾げる私に、ケイさんは昨日は見っとも無いところを見せてしまったと詫びを口にしてくる。

「利二とは仲直りしたから」

頬を掻いて眼を泳がせるケイさん。

もしかして私が気遣おうとしていたこと、空気で察したのかな?
  
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