青騒-I SAY LOVE-


「舎弟のことも…、一応まだヨウとこのままでいこうって話し合ったんだ。俺なんかが舎弟に居座っていいのか、分からないけどさ」

「そんなことないですよ」


私は彼の言葉を否定した。

だって日賀野さんの一件は仕方が無かったんだもの。

ケイさんとヨウさんが話し合って舎兄弟でい続けるっていうなら、それはそれでいいと思う。

でも私の個人的意見、ケイさんはよくまだ舎弟でい続けられるなぁって思う。

こんなこっ酷い目に遭っても舎弟をしようと思えるなんて…、凄いなぁ。


それを直接彼に言ったら、神妙な顔を作ってケイさんは声を窄めた。


「凄いっていうか…、ヨウに誘われたから舎弟を続けようって思ったんだ。
本当はもうやめようと思ったんだけど、あいつがこんな俺を改めて舎弟に選んできたから。

断れなかったっていうのもあるけど…、でも誘いに乗ったのは俺。
ダサくてもいいから、これからも頑張っていかないとなぁ。

……ということは、これからもあいつの舎弟として振り回されるわけで? 苦労するわけで? 苦労イコール俺なわけで?
ははっ、俺っ、なんでホント、カッコつけたがりなんだろうなぁあ!」


あーバカバカ、俺のおばか! 舎弟白紙も夢じゃなかったのに!

ケイさん、真剣な話をしていた筈なのに一変して頭を抱えた。

「え? 白紙?」目を点にする私に、

「しまった!」ケイさんが口元を手で押さえる。


今、ケイさん、白紙って言ったけど、まさか白紙って舎弟を白紙…?


「……、あのケイさん」

「は…ははっ、白紙ってのは…、白い紙ってイミダヨ。ココロ」

「はい、分かっていますけど…。でもその意味って何もない状態にするって意味でも」


「いっやぁ、俺、その意味は存じ「ケーイ、白紙って何の話だ?」
 
 
そこにエアホッケーを終えたヨウさんがご機嫌でこっちに歩んで来た。

様子からするとエアホッケーの勝者みたい。向こうでワタルさんがぶすくれてる。


「ゲッ、ヨウ?!」

「何がゲッ、だよ」


不味い話でもしていたのかとヨウさんが怪訝な顔を作ってくる。
途端にケイさんはわざとらしく大声で笑ってみせた。

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