青騒-I SAY LOVE-
「やっ、今日の英語の小テスト。白紙で出しちまってさぁ。やっちまったなぁーって話をココロにしてたんだ。な?」
 

目が訴えてきていました、話に合わせてくれって。
私は慌てて話に加担した。
 

「ケイさん、英単語を一つも書けなかったそうで…、私も英語には苦戦していますってお話をしてたんです。ヨウさん、お得意ですか?」

「小テストを白紙に? 馬鹿、それのどこがやっちまったんだ? 俺なんていつも白紙だぜ。俺は日本人、英語とかイミフだイミフ」


得意げに話すヨウさん、でもそれ、全然自慢話にはなりませんから。

ケイさんと空笑いを零していたら、

「ホッケーしねぇの?」

ヨウさんが改めてケイさんをゲームに誘う。
多分ヨウさんなりにケイさんを励まそうとしているんだと思う。

ゲームセンターで発散させて、昨日の出来事を少しでも忘れさせようってヨウさんの優しさが垣間見えているから。

けどケイさん、体が痛いからってエアホッケーはパスしている。
だよね、体、本当に痛そうだし。


「一回も無理か?」ヨウさんの執拗な誘いに、

「体がなぁ」ケイさんもホトホト困っている。
 

どうしてヨウさんがこんなにもしつこく誘っているのか…、きっとヨウさんなりにケイさんとの距離を縮めようとしているんだと思う。

だって昨日、日賀野さんの一件であんなにもケイさん、傷付いたわけだし。

傍から見れば、間接的にだけどヨウさんのせいでもあるし。


ヨウさん、ケイさんに日賀野さんのことを話していなかったみたいだし。
 

ヨウさん的にギクシャクした仲を些少ならず感じているのかも。

ケイさんにその気が無くても、皆の誘いを断って三階フロアでポツンと椅子に腰掛けていたら、距離を置かれているって思われても仕方が無いし。


だから私は咄嗟に閃いたことを口にする。


「じゃ、じゃあ、ヨウさん。
私とこの前した勝負をしてみてはどうです? UFOキャッチャーの。あれでしたら、ケイさんの体にも負担掛からないと思いますよ。
ゲームなんて殆ど出来ない私ですけど、あれでしたら是非、参加したいですし」
 
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