青騒-I SAY LOVE-
パチン、ヨウさんがナイスだとばかりに指を鳴らした。
「ココロ、超名案。ケイ、やろうぜ。UFOキャッチャーで勝負。
先攻後攻を決めて、どっちが先に人形を取れるか勝負するんだ。予算を決めてすっから、金はそんなに掛からないぜ? 割り勘するしな」
「へえ、なんか楽しそうだな。うん、それだったらやれそう。やるやる」
ケイさんはゆっくりと椅子から下りて、やることをアピール。
するとヨウさん、「人数増やそうぜ」あどけない笑顔を作って人数を増やしてくると踵返した。
ヨウさんも不安だったんだ、ケイさんとの仲に溝ができるんじゃないかって。
ケイさんにそのつもりがなくても、やっぱり事件があった昨日の今日。
皆の誘いを断ってたら、自然に距離を置かれてるんじゃないかって…そう思うよね。
何処となく安堵するヨウさんの表情を見て、私も胸を撫で下ろす。内輪揉めは気分が良くないから、昨日みたいなギクシャク雰囲気が無くて。
「ありがとな、ココロ」
と、ケイさんからお礼を言われる。
なんでお礼を言われるんだろう? 何もしていないのに。
キョトン顔を作る私に、ケイさんはとっびきりの笑顔を向けてきてくれた。
「俺のこと気遣ってくれたろ? サンキュ。
昨日のこともサンキュな。手当てしてくれて助かった」
照れくさそうに鼻の頭を掻いて、「舎弟。頑張らないとな」ケイさんは私から目を逸らした。
私は呆気に取られていた。
真摯にお礼を言われた。ただそれだけだったのに、どうしても彼から目が放せない。
言われた言葉を反芻しては、じんわりと胸の内が温かくなるような気がする。