青騒-I SAY LOVE-

しどろもどろもどろもどろになる私に目で笑う響子さんは、

「時期に答えが出るさ」

意味深に言葉を紡いできた。
時期にも何も答えはもう出ているんだけど。

居た堪れなくなった私は、おずおずと姉分と視線を合わせた。

響子さんはわざとらしく笑顔を作って、ゆっくりと短くなっていく煙草を嗜んでいる。

小憎たらしい態度を取られて、私はまた一つ不貞腐れたけれど、それ以上の態度は取れなかった。
 
  
 
響子さんのおかげさまで(響子さんのせいとも言うけど)、その日から私はどうも気が落ち着かなかった。

指摘された日なんてゲームセンターに足を運んでもそわそわのうーっろうろ。

誰がどう見ても挙動不審な態度極まりない。
それを見た響子さんが笑っていたけど、私自身は自分のことで一杯一杯。

強い羨望を抱き過ぎると自覚している彼のことについて、グルグル考えていた。

なんとなく頭の中では答えが分かっていたけど、明確に答えを出せたわけじゃないから気持ちを認める事ができない。


というか、憧れ故の気持ちだから、響子さんが思っているような気持ちなんて抱いてるわけじゃ…ないと…。


今日もゲームセンター三階の一角でグルグルとしていたら、グループ唯一の舎兄弟がやって来た。
 

「アリエネェ…」


ゼェゼェ息をついて汗を拭っているのはケイさん。


「ヤバかった」


楽しかったと活き活き顔を作っているのはヨウさん。

異なった反応を見せている舎兄弟、曰くヨウさんに私怨を抱く不良が奇襲を掛けてきたらしく、撒いてきたとかなんとか。

死ぬ気で自転車を漕いだとケイさんはぐったり、スロットマシーンの椅子に腰を掛けた。


一方のヨウさんは自転車に乗るだけで良かったらしく、風が気持ち良かったのなんだの笑声を漏らしている。


相変わらずヨウさんは喧嘩が強い分、不良さんに狙われるみたいだけど…、ケイさんは完全にとばっちりだよね。
 
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