青騒-I SAY LOVE-

私はいそいそとポケットに捻り込んでいたお財布を取り出し、小銭入れに百円玉と五十円玉を―…。


………。


私はおもむろに二つある小銭入れスペースの内の一つに、今ある小銭を全て寄せる。

そして貰った百円玉と五十円玉は空いたスペースに投入。

うん、これでよし。
ケイさんから貰った小銭がごっちゃにならない。

ご満悦にお財布を閉じる私だったけど、ふと我に返って悶絶。これじゃあ意識してるみたいなんだけど、私。

あうあう、別に意識なんて、意識なんて…、そうだよ。憧れの意識は持っているけど、それ以上は無いんだ。


だから別にごっちゃごちゃになっても平気!
 

急いでお財布を開けて、私は偏った小銭スペースを元通りにしようと手を掛ける。

うー…、でも折角分けたわけだし、ごちゃごちゃになるのは勿体無い気がするし。

だけどだけど小銭なんて全部同じ価値だし…っ、ケイさんから貰った小銭なわけだし……。


開けては閉じて、開けては閉じて、閉じては開けて、やっぱりお財布を閉じてしまう。



やっぱり私、ちょっとだけ意識してるのかも。

ケイさんのこと。
 




「何してるっぴょーん、ココロちゃーん」




!!?



背後から声を掛けられて、私は大きく肩を弾ませる。ぎこちなく振り返ればおやおやん? と口端を上げているワタルさんの姿。


も、もしかして始終見られてたり?

だ、だ、だったら恥ずかしいんだけど!

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