青騒-I SAY LOVE-
「あ、あのわわわワタルさんっ!」
「でぇーじょーぶよぉんさまぁ。
わわわワタルちゃーん、超お口堅いから? ココロちんが小銭にときめいていたことは、二人だけの秘密にしとこーん」
その気遣いっ、絶対からかってますよねっ!
ああああああっ、見られちゃったんだっ。
ワタルさんっ、飄々としていて意外と周囲を見ている人だからっ。
絶対今の私の気持ち、見透かしてる! ち、違うんですっ。違うくないんですけど違うんです!
オロオロキョロキョロしていた私だけど居た堪れなくなってBダッシュ。
「うわっつ!」だけど運動神経のない私はアッサリと足が縺れた。
「おっとっ!」ワタルさんが腕を掴んでくれたから、ずっこけずに助かった。
だけど見られたパニックに転びそうになったパニックが重なった結果、私はこれ以上にない羞恥心を抱くことになる。
「う゛ううううっ!」
身悶えする私はワタルさんに意味もなくかぶりを振って、ポカポカと相手に八つ当たり。
不良さん相手だから本気は出せなかったけど(出せるわけなかったけど)、八つ当たりという名の感情を拳に変えてワタルさんを叩いた。
ヘラヘラと笑っているワタルさんは、平然と私の拳を受け止めた後、よしよしと頭を撫でてくる。
「よしよーし、恥ずかしかったねんねん。
だけどダイジョーブ。誰もココロちゃーんの姿、見てないから。カッコ僕ちゃん以外カッコ閉じる、っと。
って…、ココロちゃーん。
ごめんごめん、もうからかわないから、そんなに呻かなくても」
「呻きますよぉおお! わわわワタルさんのバカァアア! も、もうお顔合わせできませんぅううう! 責任取って下さいぃいい!」
「ええええっ、僕ちゃん、そんなに重罪……、ココロちゃーん。今の発言、撤回しようか」
ううっ、唸り声を上げている私はおずおずとワタルさんを見上げた。
彼は引き攣り笑いを浮かべて前方を指差す。