青騒-I SAY LOVE-
是非ともこのままずーっと二人の世界に浸っておきたかったんだけど、
「ヤマトさんはい・な・い・か・ら!」
俺達の間に立って健太が会話に割ってきたもんだから世界は決壊。
折角トラウマを持つ同士、励まし合って前向きに物事を取り組もうとしているのに、このKY地味不良め。もうちょい世界に浸らせろって。
舌を鳴らす不満気な俺に対し、「勘弁しろって」健太はゲンナリ。
「なーんで弄ろうとしていたおれの方が、アウチな目に…。
はぁーあ…、アリエネェ。
くそう、圭太のくせに彼女とデートとかアリエナイんだぜ!」
「ごめーん! 田山は今、超春だから! で、邪魔なんでとっととサヨナラをお願いしマース!」
「ひっでぇ! オトモダチに言う台詞かよ! ほんっと可愛いココロさんとデートとかさぁ、でーと…かさぁ。でーと…」
「へ?」
次第次第に語尾が小さくなる健太はマジマジと我が彼女を観察。
おいおいおい、そんなに彼女を熟視するなって。
ココロが可愛いのは分かるけど…、面白くない。面白くないぞ。この光景っ、ココロもジーッと健太を見つめ返してるし。
うっわっ、超面白くないこの光景!
そして俺、大概で心狭ッ!
なーんか気に食わないとか思う心の狭い俺を余所にココロは健太の視線を受け取り、受け取り、うけとり、「あわわっ…!」彼女は急いで健太に背を向けた。
「?」クエッションマークを頭上に浮かべる俺、
「いやっちがっ!」誤解だと慌てふためく健太、
小さな唸り声を上げるココロ。
俺だけ状況を呑み込めていないわけなんだけどココロの一言に硬直する他、否、石化するしかなかった。
「ぺったんこ…ですもん。まな板ですもん」
ぺったんこですもん? まな板? ぺったんこ? まな板? ぺったんこ…、まな板…、ぺったんこまな板?!
ちょ、待て待て待てっ、健太っ、お前、俺がちょっと別のところに意識を飛ばしている間、ココロの何処見てっ、アアアアッ、このひんぬー好きのドチクショウ!
またしてもお前は、お前は、お前って奴はココロの胸を見てやがったな!