青騒-I SAY LOVE-
「けーんーたッ、お前、一度ならず二度までもっ!」
ガタッと椅子を引いて俺は相手を睨む。
ブンブンとかぶりを振る健太はてへてへっと、わざとらしく誤魔化し笑い。頬をしきりに掻いた。
「だ、だから違…、あー…、いや暴露すると、ちょぴっとだけ見ちゃいましたが…。いやでもっ、別にココロさんを狙ったわけじゃなくって!
ほっらぁ、男のお前なら分かってくれるだろ?
可愛い女の子を見つけると自然に目がソッチにいく、男の生理的欲求ってヤツをさ。
圭太だって数秒前まで、おれ達を面白く無さそうに見てたじゃあーりませんか。
幾らココロさんが好きだからって言っても、男の嫉妬は醜いぜ? 圭太くーん」
一変、キャツは意地の悪い笑みを浮かべて捨て台詞を吐くと、トレイを持ってさっさ向こうへと逃げて行ってしまった。
不意打ちを食らってぽかんとしてしまうマヌケな俺に対し、
「ヨユーのある男になりな」
バーンと指鉄砲で俺を撃って健太は勝利の笑みを顔に貼り付けた。
次いで、健太はココロに向かって、こんな一言。
「おれ、ココロさんみたいな子が超好みですから。胸も含めて、ね」
「え…え?」
「なっ、なっ」
「それじゃ、邪魔者は退散するんで。ちゃーんとおデート楽しめよ。プレインボーイくーん」
ヒラヒラと手を振る調子ノリ地味不良は、向こうで待たせているであろう友達と共にトンズラ。
口説かれたココロは赤面、んでもって俺はフルフルと体を微動させて握り拳を作った。
勿論彼女のことを褒められたから歓喜で体が震えている、わけもなく、
「健太っ、お前、次会ったら覚えてろよ―――ッ!」
客の出入りが激しいファーストフード店で怒声を上げる俺に、大爆笑する健太の姿があった。