クロトラ!-妖刀奇譚-
更にとどめを刺すように、"母"は沙市の手を取ると熱いまなざしでこう言った。
「私ね、沙市と一緒に暮らせないかなあって思ってる。」
「……え?」
――最悪だ。
「これまで私の勝手で寂しい思いをさせたわけじゃない?これからその償いができないかなって、思ってるの。」
これ以上ない最悪の提案だった。
今この瞬間、これまで穏やかだった沙市の世界は、崩壊へと大きく舵を切った。
メニュー