お妃様も官吏なり!
俯き、なんとなく空をきった視線は、自らの手を見ていた。
蓮淵は黙り、そしてポツリと言った。
「わかってはいたが…。」
想像と現実は違う。
いざ、想像が現実として具体化してくると、怖くなるのは誰だって一緒だ。
「…安心してください。我が妹は、絶世の麗人で、究極の秀才なんです。優しくて、聡くて、強い子。主上をきちんと理解して、愛してくれます。」
あの子は、推琳はそういう子なのだ。
誰でも優しく包む、強い子。
人の心をとらえてはなさない…。
「……深宵に似ているか。」
「面影はありますが、私と妹で比べたら私など凡人です。」
比べることも許されない美貌。
母は生まれた瞬間に妹の運命を悟り、わざと庶民と触れ合わせた。
そうしなければ、妹は孤高の花となって、孤独に陥ると知っていたから。