お妃様も官吏なり!
 
問題はもう一つの方にあった。

皇后 後宮の二言とは、すなわち後宮に入って皇后になれと言うこと。

現王に后妃は独りもおらず、むしろ…。

「推琳も不幸だねぇ。男色家の主上のもとに嫁ぐなんて。」

「兄上!」

いつの間にか、そこにいた深宵は部屋の入り口に立っていた。

「やっ…やっぱり、主上の男好きって噂は本当なんですか?」

聞きにくい。だけど気になる。

恐る恐る訊ねた推琳に、深宵は爽やかな笑顔でバッサリと答える。

「うん。しかも、女嫌いなんだ。」

その瞬間、推琳の脳裏に、母上・殺の文字が浮かんだ…。

「……。」

どうすればいいのやら。

推琳にからすれば、ボロボロと秀才たちが藻屑のように堕ちていく国試より、男好きで噂では男前で女嫌いな主上の后としてやっていく方が、百倍…いや、百億倍も難しく感じた。

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