【完】天体観測 ~キミと見た星~
「教えてくれないのー?」
姉貴は俺の腹をツンツンと突いてきた。
「…っ触んなよ」
「あららー。反抗期でちゅかぁ?」
わざと赤ちゃん口調で喋る姉貴にイラッとしたのは言うまでも無い。
てか、なんなわけ?
一々俺の部屋まで来て、何の用だよ。
「ふざけんな」
「……じゃあ、真剣に話そうか」
それから、姉貴の瞳は別人のように真剣になった。
それをみて、俺は少し緊張した。
「片想い?」
「……」
「片想いかぁー…。辛いわねぇ」
俺は何も返事をしていないのに、姉貴は淡々と一人話を続ける。
「ライバルとかいちゃったりするの?」
「……」
「あらー。それは辛いね。相手はイケメンくんだったり?」
「……」
しらねぇよ。
そんな事…。
「まぁ大丈夫よ。アンタも十分イケメンだから」
「…はっ!?」
俺はベッドから起きあがる。
急に姉貴が気持ち悪ぃ事を言いだしたぞ…。
俺を碌に褒めたこともないくせに。
「あー今の撤回。ブラコンだと思われちゃう。イヤイヤ」
「……」
俺は少し不機嫌に面を顰(しか)めて、またベッドに顔を伏せる。