【完】天体観測 ~キミと見た星~
「…ごめんなさい。」
鈴原は、何度も何度もそう言って謝った。
お前が謝るようなことじゃない。
「私にも、椎名くんが必要。だけど、私はいなくなっちゃうから…」
「だから、言ってるだろ?俺は、お前と一緒に居れない方が辛いんだ。勝手に悩んで勝手に決められることが辛いんだ。」
俺はそっちの方が辛い。
もちろん、鈴原がいなくなるのは、絶対に嫌だ。
どうしてでも、俺の命に代えてでも守りたい。
だけど、それは出来ないんだ…。
だったら、今の俺には鈴原の傍にいることしかできない。
傍にいたい。
「私に…椎名くんは…釣り合わない。椎名くんにはもっと良い人が…」
「その良い人は、お前なんだよ」
そう言って俺は鈴原を優しく抱きしめた。
鈴原は温かくて、ホッとする。
こいつはこんなにも温かいのに。
「椎名…く…ん」
ぎゅっと鈴原は俺に腕をまわした。
俺と鈴原は確かめあう。
ちゃんと、ここに居るんだ。