【完】天体観測 ~キミと見た星~


椎名くんは何も言わず、私の乗ってる車椅子を押して走る。

「椎名くんっ!?ど、どうしたのっ」

どこに行くの!?

「木下が…っ木下が心臓発作で緊急手術らしい…っ」

椎名くんは車椅子を押して必死に走る。

「え…」

何を言ったの?今…。
木下くんが…?

「う、そ…でしょ…?」

嘘だ。
嘘だ。
嘘だ!!

そんなの…信じられるわけないじゃない…。
そんな嘘で騙されるわけないじゃない。
だって、さっきまで一緒にいたんだよ?

椎名くんは、私を騙そうとしてるんでしょ?
後で、「ドッキリでしたぁ!」とか、言って笑うんでしょ?

「はぁっ…はぁっ」

だけど、必死な椎名くんの顔を見て、胸の心拍数が上がる。

やだ…
そんな必死な顔しないでよ…

笑ってよ。
笑って、「なんてな」って言って止まってよ。
走らないで…っ!

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