【完】天体観測 ~キミと見た星~
すると、医師(せんせい)が手術室へ入ろうとするのが見えた。
「医師っ!」
私は大声を出して、医師を止める。
「医師…っ!木下くんが…っ緊急手術って…っ!」
「……っ」
医師は何も言わず、俯くと、手術室へと入っていった。
―バタンッ―
さっきまで開いてた手術室のドアが勢い良くしまる。
「手術中」
その文字が、赤く光る。
「…うそよ…」
そうだ。
これは、なにかの間違いで…
誰か、きっと違う人が手術をしてるんだ。
木下くんじゃない…
「…くそっ」
椎名くんは悔しそうに、壁を蹴る。
「…違う…」
手術室の前で、
どうしようもなく、ただ、ただ…
間違いだと願って
手術を終わるのを待った――……