【完】天体観測 ~キミと見た星~


すると、医師(せんせい)が手術室へ入ろうとするのが見えた。

「医師っ!」

私は大声を出して、医師を止める。

「医師…っ!木下くんが…っ緊急手術って…っ!」

「……っ」

医師は何も言わず、俯くと、手術室へと入っていった。

―バタンッ―

さっきまで開いてた手術室のドアが勢い良くしまる。

「手術中」

その文字が、赤く光る。

「…うそよ…」

そうだ。
これは、なにかの間違いで…
誰か、きっと違う人が手術をしてるんだ。

木下くんじゃない…

「…くそっ」

椎名くんは悔しそうに、壁を蹴る。

「…違う…」


手術室の前で、
どうしようもなく、ただ、ただ…

間違いだと願って

手術を終わるのを待った――……


< 131 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop