【完】天体観測 ~キミと見た星~


「うぅ…っ!涼介ぇええ!!!いやよぉお!!」

木下くんのお母さんの声が響く。

「…っ」

椎名くんが、静かに涙を流した。
だけど、私は涙が流れなかった。

「木下くん…」

あんなに楽しくしてたじゃない。
私…木下くんには本当に助けてもらったんだよ。

なのに、まだちゃんとお礼言えてないよ。

お礼を言う時は、木下くんが元気になって、退院するときだって決めてたのに。

こんなの、違う。

「うぅう!!涼介ぇええ!!!」

「お母様。もうそろそろ、限界かと…。」

医師はそれだけ言って頭を下げ、病室を後にした。

「…あなた達、涼介のお友達?」

おばさんが、こっちに歩みながらそう聞いて来る。

「…はい」

「ねぇ、教えて?どうして?どうして涼介がこんなめに合わなきゃイケないの?」

おばさんがガシッと私の腕を強く握る。

その行動に、鳥肌がたった。

< 134 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop