【完】天体観測 ~キミと見た星~
「うぅ…っ!涼介ぇええ!!!いやよぉお!!」
木下くんのお母さんの声が響く。
「…っ」
椎名くんが、静かに涙を流した。
だけど、私は涙が流れなかった。
「木下くん…」
あんなに楽しくしてたじゃない。
私…木下くんには本当に助けてもらったんだよ。
なのに、まだちゃんとお礼言えてないよ。
お礼を言う時は、木下くんが元気になって、退院するときだって決めてたのに。
こんなの、違う。
「うぅう!!涼介ぇええ!!!」
「お母様。もうそろそろ、限界かと…。」
医師はそれだけ言って頭を下げ、病室を後にした。
「…あなた達、涼介のお友達?」
おばさんが、こっちに歩みながらそう聞いて来る。
「…はい」
「ねぇ、教えて?どうして?どうして涼介がこんなめに合わなきゃイケないの?」
おばさんがガシッと私の腕を強く握る。
その行動に、鳥肌がたった。